こんにちは、道玄坂学徒です。
スマホのニュースアプリ「NewsPiks」で毎回楽しみにしていた冨山和彦さんの特集があまりにも面白かったので著書『AI経営で会社は甦る』を購入して読みました。
タイトルこそ「AI」というバズワードが入ってますが、これからの時代の経営に関する鋭い指摘をされている素晴らしい本でした!
大企業の経営者に関わらず、これから独立したいと考えている人にとってはとても重要な内容なのでぜひ手に取ってみることをオススメします!
『AI経営で会社は甦る』のまとめ
技術よりビジネスで儲かるかどうか
AI技術そのものの先端性と、ビジネス上の「儲け」の間には、例によってほとんど相関はないということだ。やはりビジネスセンスがまずは重要でAI技術に関しては、その観点から世の中に存在する様々な技術から必要十分なものを選ぶ選択力、そして当該技術を活用してビジネス化する応用開発力、複合的開発力こそが決め手となる。
要は、革命的なイノベーションの波に飲み込まれた業界において、ビジネスの世界での勝ち負けは、あくまでも急速に変化する環境の中で、構造的・持続的に「稼ぐ」ことのできるビジネスモデル、競争モデルを先に構築できたかどうか、他者に代替されにくい唯一無二のポジションを築き上げられたかどうかで決まる。
こういう時期に大事なことは、目前のイベントに目を奪われず、一喜一憂せず、今起きていることの産業的な意味合い、競争上の意味合いを冷徹に洞察することなのだ。
「AI」がバズワードになっているけど、基本はビジネスそのものが儲かる構図になっているということが大事ってことですね。
結局、本質はこれまでのビジネスのあり方と何も変わらなくて、「AI」というツールを使いこなした上でゲームをするってだけのことのようです。
「ネットビジネス」の終わりの始まり
ネットでビジネスをしている人にとっては特にここが重要だと思いました。
限界費用がゼロということは、参入障壁が低いことを意味する。参入が容易ということは、経済学が教える通り、競争激化によって価格はどんどん限界費用付近まで下がっていくので、サービスは実質的に無料化しやすい。
インターネット革命が生み出したネットビジネスの世界では、新規プレイヤーは基本的に既存インフラにフリーライドして参入でき、かつネット上のバーチャルな世界では、顧客側から見たスイッチングコストは著しく低いので、強固な競争障壁も作りにくい。すなわち自然独占どころか、むしろ完全競争に近い状況になりやすいのだ。
コンテンツについても同様で、アーカイブものはやはり配信にほとんど限界コストがかからず、差別化も難しいので、価格競争に陥りやすく、音楽配信にせよ、映像配信にせよ、それが持続的に大きな収益を上げる構造を作ることは難しい。結局、定額動画配信のネットフリックスが展開しているように、新制作のドラマ、すなわち限界費用を投じた”生もの”で勝負する、そしてそのコンテンツ制作のためにビッグデータ解析やAI技術を使うという戦略展開にならざるを得ないのだ。
要は、サイバー空間でほぼほぼ完結できる典型的な「ネットビジネス」の時代は黄昏を迎えつつある。デジタル革命第三期は、そんな時期に起きつつあり、これは今までのネットビジネスの常識が通用しない時代の到来を意味しているのだ。
ごく当たり前のことなんですが、ここまでわかりやすく解説してくれる文章ははじめて読みました。
結局、これからのネットビジネスは何かしらの形で「リアル」を絡めていくことが重要だということですね。
リアルを絡めるということは何かしらの形で限界費用を投入するということなので、これまでネットビジネスで語られてきた不労所得的な発想からは離れていくということだし、リアルを絡めないということは競争激化で儲けがどんどん少なくなっていくということを意味します。
どんなタイプのネットビジネスであれこの現象からは基本的にはこの本質は避けられないので、ネットビジネスで独立しようと思っている人はこのあたりを強烈に意識しておかないといけないですね。
『AI経営で会社は甦る』の感想
久しぶりに時間を忘れて没頭できた素晴らしい本でした!
最近のブームなのでAI関連の本はたくさんありますが、AIを軸に今後の現実的な経営の語る本はなかなかないのでそういう意味でたいへん参考になる良書です。
今後、多かれ少なかれ人工知能は確実に普及していくので、独立を目指す人はこの辺の情報はしっかりとインプットしといた方がいいと感じました。